経営情報

トップメッセージ

 株主・投資家の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 当社をとりまく事業環境は、企業業績は堅調に推移していますが、消費や設備投資は鈍化しており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。食品業界におきましては、原材料コストの上昇を反映した値上げが浸透しつつあり業績は改善基調にありますが、食品価格上昇に伴う消費者の節約志向への対応が求められています。このような状況にあって当社グループでは、仕入先の多様化やグループ生産工場の活用による付加価値商品の提案を継続することで、適正価格の実現に向けた取り組みを行うと同時に、DXの推進による業務の見直しなどを進めております。

 これらの結果、2023/10期(第76期)の連結売上高は、原材料費・エネルギーコスト等の上昇を反映した価格引上げもあり、乳製品・油脂類、製菓原材料類、菓子・リテール商品類など日本国内での売上が増加したことから、前期比6.2%増の1,095億94百万円となりました。利益面につきましては、前期は米国でのクルミ事業の利益が大きく拡大したため、前期比では米国セグメントの利益が大きく減少しましたが、値上げの浸透や工場の稼働率の改善等から日本セグメントでは増益となり、中国セグメントでも香港でのビジネスが好調に推移しました。この結果、営業利益は同7.6%増の40億34百万円、経常利益は、同1.0%増の41億37百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同0.7%増の28億9百万円となりました。

 2024/10期(第77期)業績につきましては、気候変動による作柄の変動や円安による原材料価格の上昇に加え、世界の地政学的状況によるエネルギーコスト上昇等のインフレが世界的に定着しつつあります。インフレを背景にした金融引締めの動向も不透明であり、為替相場の先行きも見通しにくい状況が継続しておりますので、当社グループを取り巻く経済環境は不透明な状況が続くと見込まれます。

 このような状況下、当社グループでは4月に予定しております創業120周年記念商品展示会を契機に、一層の付加価値の向上に努め、気候変動や為替相場の変動に対処しながら、安全・安心な食材の安定調達に努めてまいりたいと考えております。また、お得意先様ニーズの一層の把握に努め、提案力の強化を図っていきたいと考えております。

 株主・投資家の皆さまにおかれましては、一層のご指導、ご鞭撻をいただけますようよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 本多秀光

経営環境・経営戦略

当社グループでは、中長期的な観点から特に対処すべき経営環境として以下の5つを抽出しており、これに対応する基本的な経営戦略を設定しております。

 

1.食品専門商社としての成長戦略

主要商品における
サプライチェーン
持続可能性の追求

◆新規開拓及び仕入商品の産地多様化・分散化による仕入先多様化の推進。

◆仕入先との品質管理基準、リスク管理の共有や工程監査、定期会議等を通して長期協力関係を構築。

健康で豊かな食生活に向けた
食の多様性提案

◆健康志向、ヴィーガン食、完全栄養食等の新しい需要へ対応した営業活動

◆健康素材の発掘を進め、食の多様性提案に工夫した営業活動の強化。

グローバル展開の強化

◆中国事業の黒字安定化及び米国事業の強化。

◆新興国市場の成長に合わせた輸出事業の推進、現地需要に特化した商品開発。

2.食品加工メーカーとしての成長戦略
付加価値商品である自社加工品の増産体制と拡売

◆市場ニーズにマッチした付加価値商品の選定及び該当自社加工品の設備投資による増産体制の構築。

◆自社加工品の販売地域拡張、新たな販路の開拓。

環境への負荷を減らす取組み ◆再生可能エネルギーの使用検討、食品ロス・廃棄物の削減、歩留り改善による廃材削減、リサイクル品の導入など環境への負荷を減らす取組み。
持続可能な物流網の維持 ◆物流課題への取組みをスタートさせ、既存物流網の見直し、「2024年物流問題」への検証と対策。
安心・安全な食品の提供 ◆自社工場の品質管理・保証体制の強化を進めると共に、協力工場、仕入先への品質監査体制の強化を図り、安心・安全な食品の提供体制を維持。
3.サステナビリティ経営の推進
環境対応、人権対応の推進

◆カーボンニュートラル実現に向け、CO 2 排出量の蓄積データに基づき目標を設定。

◆仕入先の人権・環境対応等に関するCSR 調査を継続実施。

◆職場における人権に関わる諸課題への対応強化。

ステークホルダーとの協働

◆環境への配慮、社会貢献、公正・透明な企業運営などの CSR (企業の社会的責任)への対応推進。

◆働き易い職場環境の整備、労働条件の改善や福利厚生の充実を図ると共に地域社会への貢献の継続促進。

◆企業価値の向上を目指しIR 活動を強化。

コーポレート・ガバナンス
体制強化

◆情報開示の強化による企業の透明性と説明責任の確保。

◆ガバナンス委員会の活用と取締役会の実効性向上によるコーポレート・ガバナンス体制の一層の充実。

◆リスク管理・コンプライアンスの徹底。

経営基盤の強化

◆DX推進による業務効率化の向上、自社社員の DX レベルの向上。

◆人事制度の再構築、多様性の追求、育成プログラムの構築を通して人的資本を最大限活用。

◆経営戦略の実現に適合する人財戦略の構築。



 

事業等のリスク

当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあり、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えております。なお、下記事項の記載において将来に関する事項が含まれておりますが、有価証券報告書提出日(2024年1月30 日)現在において判断したものであります。

① 食品の安全性について

当社グループは、国内外の食品メーカーや生産者から商品および原材料を調達し、また、国内および米国、中国に生産子会社を保有しております。品質保証部を中心に国内外の工場も参加した定期的な会議の開催などで品質管理の高度化や食品の安全性確保に努めておりますが、予見しえない問題や、製造および加工工程での不測の事故の発生等から、大規模な商品回収や多額な製造物賠償責任が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 在庫について

当社グループは、多品種の食品原材料や商品を取り扱い、特に輸入原材料・商品を中心に一定量の在庫を維持しております。農産物の収穫時期、各工場での生産時期、販売先への出荷時期、食品の賞味期限等を考慮し、商品別の担当者を配置し販売担当者との密接な情報交換により余剰在庫や賞味期限切れが発生しないよう在庫管理に努めておりますが、販売見込みと実績の乖離等により在庫の廃棄が生じた場合や大きな価格変動が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 食品原材料や商品の安定調達と価格高騰について

当社グループは、国内外から食品原材料や商品を調達しており、自然災害や気候変動等に起因した凶作等、安定した品質と数量を確保することができないリスクや、需給の変動による農産物の海外相場の変動や為替相場の変動から、仕入原価や生産コストが大きく影響を受ける可能性があります。このため商品別での仕入担当者を配置し、仕入先との密接な情報交換や作柄状況の確認により安定確保に努めておりますが、想定を超える規模での変動が生じた場合には原材料・商品の品質の低下や物量の不足により、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 感染症疾患の流行や災害による影響について

当社グループは、営業所に加え生産工場などにより事業を推進しております。事業継続計画(BCP)の定期的な見直しや保険の利用などでリスクの抑制に努めておりますが、大地震や自然災害などの想定を超える事象や大規模な火災が発生し保有する施設や工場などの損壊・喪失、また、感染症疾患の大流行等が発生した場合、受注・出荷活動による商品供給や工場による生産活動に支障を来たし、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 事業のグローバル化による影響について

当社グループは、食品原材料や商品の一部を海外から調達しており、また海外において、生産拠点および販売事業を営んでおります。海外からの仕入や海外グループ会社管理の専門部署を設けリスク管理に努めておりますが、戦争やテロ、政治・社会変化、不利な影響を及ぼす租税制度や諸規制の設定または改廃等、予期せぬ事象が生じた場合や海外グループ会社へのガバナンスに瑕疵が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 取引先信用リスクについて

当社グループでは取引先への売掛債権に基づく信用リスクが発生しております。当社グループでは、信用情報の分析に基づき、取引先毎で信用限度を設定し、限度金額に応じた承認権限に基づき審査を行う等で信用リスクの回避に努めておりますが、取引先の倒産のような予期せぬ事態により債権回収に問題が発生した場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 法的規制等に係るコンプライアンスについて

当社グループは事業活動を遂行するにあたり、日本においては食品安全基本法や食品衛生法等、その他事業を展開している各国においても同様に法的規制を受けております。当社グループではこれら法的規制の遵守に努め適確な対応を行っておりますが、今後法規制の変更があった場合や法的違反行為等の指摘を受けた場合、当社グループの事業活動が制限され、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 情報・システムについて

デジタル化の進展を背景に、情報通信やデータ処理による受発注処理や会計処理に加え、取引先とのコミュニケーションや社内での情報交換等においても電子的な交信手段が利用されています。このため、情報システムの専門部署を設けリスクの低減に努めておりますが、情報漏洩、データの紛失、ウイルス攻撃等が発生した場合は、企業活動に支障が生じる可能性があり、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 国内外の輸送に係るリスクについて

当社グループでは物流業界の人手不足に対応すべく、トラック輸送から鉄道貨物輸送等へのモーダルシフトの推進や輸入貨物を消費地に近い港への荷揚げ等の取組みを行っていますが、配達ドライバー不足による商品の納期遅延、人件費高騰や燃料費高騰等による物流コストの大幅上昇といった問題が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、世界的に海上輸送に不安定要素が増加しており、輸出入の停滞が発生 した場合に、商品調達の遅れや物流コストの上昇等、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンス報告書


コーポレート・ガバナンスの状況

コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方 当社グループは、「お客様に常に国内および海外から厳選された安全・安心な食品を提供することで、新たな食文化を創造し、社会に貢献すること」を経営理念とします。これらの経営理念を実現するためには、透明性の高い健全な経営を行うことにより株主をはじめとする社会のすべてのステークホルダーから信頼される企業であり続けることが重要であり、持続的な成長および及び中長期的な企業価値を高めることを目標としてコーポレート・ガバナンスの充実に取り組み、事業活動を自ら監視し統制する仕組みを構築・運用していくものとします。

コーポレート・ガバナンスの体制概念図

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