SHOEI NEWS2025年 1月号 Vol.298
CONTENTS
新年ご挨拶
年頭にあたり
新年明けましておめでとうございます。謹んで新年のお慶びを申し上げます。
年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨年は米国大統領選でトランプ氏が再選され輸入関税の引き上げを表明し、またシリアのアサド政権の崩壊や韓国尹大統領の弾劾可決など、海外情勢は一層不透明で落ち着かない状況が続きました。
また、気候変動による原料相場の上昇に為替相場の円安も加わり、食品の値上げが再び増加しました。同時に人件費、物流費の高騰も継続し、多くの試練があった年だったと思います。
特に歴史的なカカオ豆相場の高騰によるカカオショックは、製菓・製パンに欠くことが出来ないチョコレート材料の供給に大きな影響を及ぼしています。カカオ豆の相場は年末にかけて再度大きく値上がりしており、価格の高止まりと調達面での不安が重なり、今後の動向が大変懸念されています。
弊社は、お陰様で昨年無事に創業120周年を迎えることができました。また7年振りに商品展示会を開催させていただき、約3,800名の方のご来場を賜りました。商品展示会にご協力いただきました国内外の出展企業、協会関係者の皆さま、またご来場いただいた多くのお取引先の皆さまには、改めて御礼申し上げます。
創業120周年を契機に、「弊社の目指す姿」として下記の新たなビジョンを策定いたしました。
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『素材を超え、新しい価値を!』
食への熱意と絶えない挑戦により素材の可能性を追求することで
人々の健康と幸せな未来を切り拓く
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弊社のDNAと言える創業精神を大切にしながら、商社機能、メーカー機能、販売機能を融合させ素材の価値を高めながら、「食文化の創造」や「健康的な食材」の追求を通して、社会貢献を目指していくという内容としました。同時に生産者や加工業者の想いや取組みを汲み取り、素材の価値や情報をお客様に伝え、提案していくのが弊社の役割と再認識いたしました。サプライヤーとお客様との橋渡し役となり、市場ニーズを捉えお客様の課題を解決しながら、素材の探求と市場拡大を目指し、お客様の商品作りにお役に立っていくことを目指していきます。
また、原料の品質の安定と供給を確保するために、国内外の取引先との信頼関係を一層強化すると 同時にサプライチェーンの多様化や新しいスキームの構築を行いながら、持続的な成長を目指していきます。
従来からの課題の一つでありました中国事業につきまして、2023年11月に設立したアジア・中国事業統括部の取組みもあり、採算が改善しつつありますので、今年度についてはアジア地域への拡大を試みながら弊社のグローバルな取組みの相乗効果を高めていく方針です。また、課題である基幹システム 移行などのDXの推進、人的資本経営を目指した人事制度の見直しなどの課題への対応を着実に進め、強固な経営基盤の構築に努めてまいります。環境やステークホルダーへの配慮に努め、サステナビリティへの対応も一層拡充してまいる所存です。
2025年の干支は「乙巳(きのと・み)」で、これまでの努力や準備が結び始める時期という縁起の良い年のようです。皆様の努力が結実し、素晴らしい一年になりますように心からお祈り申し上げます。何卒、本年もよろしくお願い申し上げます。
商況案内
カリフォルニアアーモンド 市況
現地時間の12月17日に発表された11月末締めのアーモンドポジションレポートによりますと、2024年産カリフォルニアアーモンドの累計収穫量は23億42百万ポンド(前年比125.4%)となっております。同時期における累計収穫量としては2020年産に次いで過去2番目に多いのですが、今年は7月の熱波により乾燥が急速に進んだことから収穫時期が早まった上に短期間で収穫を終えたことと、ハラーシェラー(果皮剥き、脱殻業者)の処理能力が増加していることが主な要因と言われております。11月単月の受入数量は8億10百万ポンド(前年同月比61%)とペースが鈍化しており、12月以降の受入数量は昨年に比べ大幅に減少することが予想されていることから、最終収穫量は27億~27億5千万ポンドとなる見込みです。
出荷に関しましては11月末までの累計出荷量は9億11百万ポンド(前年比99.6%)と前年並みに推移しておりますが、11月単月の出荷量は2億71百万ポンド(前年比113.9%)と同月の出荷量としては過去最多となっております。特に在庫の手当てが薄いと言われるドイツ(前年比194.9%)、スペイン(前年比122.6%)の他、オランダ(前年比289.7%)といったヨーロッパ向けの出荷量が大きく増加したほか、ラマダン(2025年2月28日~3月29日)への需要により中東、とりわけトルコ(前年比172.1%)が出荷量を牽引しております。一方、アメリカ国内向けは前年比90.2%と振るわず、また、豪印の貿易協定にて関税率が大幅に下がったことから豪州産アーモンドへのシフトが進んだインド向けも前年比53.3%と減少しております。
11月末時点での成約済み数量は6億12百万ポンド(前年比94.5%)に減少しておりますが、11月単月の成約量は2億9百万ポンド(前年比100.6%)と高値相場にも拘わらず前年並みの成約が進んだことから、買い手の多くは当用買いを継続しており手当てが薄い状況であることが窺えます。
6月以降、現地相場は値上がりが続き、累計出荷量の減少や成約ペースの鈍化によりやや落ち着きを見せ始めてはいるものの、上記ポジションレポートの発表内容から強気の姿勢は崩さず、高値維持となっております。
2024年産 中国 パンプキンシード 市況
2024年産の西北地区光板種パンプキンシードの収穫は8月末より開始され、10月末に終了致しました。昨年まで 他作物(トウモロコシ等)への転作による生産者離れを抑制する為に政府が一定水準を上回る価格で買い取りを進めたことや、安価なトウモロコシの輸入が増えたことでパンプキンへの転作が進み、作付けが増えたことから収穫量は24万トン(前年比126%)と豊作となりました。
今期のパンプキンシードの価格は軟調なスタートとなりましたが、輸出向けで農薬管理を厳しくコントロールしている原料の価格は若干の値下がりに留まっています。一方、中国の工場における生産コスト上昇分を相殺し現地輸出価格に大きな変動はありません。
2024年産 中国・ブルガリア サンフラワーシード市況
― 中国産 ―
中国産サンフラワーシードは搾油やスナック需要が中心で、弊社の取り扱う剥き実は一部の限られたものとなっています。2024年産は近年の旺盛な需要から作付面積も増加し、天候にも恵まれたことから収穫量は前年の180万トンから220万トンへと増加し、需要以上に生産量が増えていることで原料価格は若干の値下がりとなっています。しかしながら、中国の工場における生産コスト上昇分を相殺し現地輸出価格に大きな変動は見られません。
― ブルガリア産 ―
ブルガリアは世界有数のサンフラワーシードの生産国で、全土での栽培面積は90万ヘクタールあり、総収穫量は約200万トンです。2023年産のブルガリア産のサンフラワーシードは夏場の猛暑と干ばつにより約160万トンと前年より約24%減少となりましたが、2024年産も夏場の猛暑と干ばつの影響を受け、130~140万トンと2023年産に比べ約15%減少しました。ヨーロッパにおけるサンフラワーシードの主要生産国はロシア、ウクライナ、ルーマニアとブルガリアの近隣国となっておりますが、減産の影響を受け総供給量は過去3年間において最低水準となっている状況です。サンフラワーシードは大部分が搾油用に使用されておりますが、生産量の減少に加え他の植物性油に比べ割安であったサンフラワー油へ需要がシフトしていることから、相場が徐々に上昇しています。ブルガリア産サンフラワーシードの今後の相場動向には注視が必要です。
中国 みかん 市況
大幅な減産、原料価格上昇により値上げ
2025年産中国みかんは、主産地である浙江省の収穫量が昨年と比べ大幅な減産(30~50%)となる見込みです。缶詰用原料価格に関しましては、昨年比20%前後上昇しております。現地情報では、2025年産の原料品質は、収穫開始前の予想よりも悪い状況です。収穫時期前半の原料において、皮が剝きづらく割れ率が高いという傾向が出ていることから、ブロークン原料の発生率が上昇する見込みです。
近年、設備投資を行い製造ラインの自動化を進めた工場が多く、皮剝き工程も機械化され、原料品質が悪くなると予想されている2025年産みかん缶詰は、夾雑物の混入率悪化が懸念されております。
為替相場においては、昨年同時期150.95円/US$(2023年11月平均TTS)に対し、今年は154.85円/US$(2024年11月平均TTS)と円安が進行しています。
以上の状況により、2025産中国みかん缶詰は、減産による現地価格の上昇と円安による輸入コストの上昇が懸念されます。新物入荷状況、価格情報につきましては、弊社営業担当者までお問い合わせください。
国産 栗 市況
― 茨城県産 ―
茨城県産の収穫量は当初平年並みとの予想でしたが、8月以降に猛暑と降雨不足が続いた影響で収穫が遅れ、9月中旬の時点で茨城県全体で前年対比5割前後の大減産が懸念されておりました。
9月下旬以降の気温低下と降雨により、例年より1~2週間ほど遅い9月末~10月上旬にかけて中生の収穫がピークを迎えたことで、最悪の事態は避けられ最終的には茨城県全体で前年対比8割前後の収穫量が見込まれています。価格については加工メーカーや菓子屋の引き合いが強く、後述の熊本県産の減産も相まって、市場価格は前年並みで推移しました。
― 熊本県産 ―
熊本県産も同様に夏場の猛暑と降雨不足、更に8月30日に台風10号の産地通過による影響で熊本県全体で前年対比8割前後の収穫量が見込まれています。価格については収穫の遅れや減産の影響で市場価格は強気で推移し前年並み~若干の高値で推移しました。
弊社は茨城県、熊本県の栗を調達し、関係会社の株式会社京まろん天草工場で和栗ペーストの加工を行なっております。2025年も国産栗は強い引き合いが予想されますが、茨城県産、熊本県産ともに十分な数量を確保いたしました。和栗ペーストをご検討の際は弊社営業担当者までお問合せください。
国内乳製品 市況
農林水産省によりますと10月の生乳生産量は全国で前年比101.4%となり前年比で増加する結果になりました。地域別で見ると、北海道では前年比約103.4%と前年を上回り、都府県では前年比98.7%と前年を下回りました。
10月末の推定在庫量はバターで約24,900トン(前年比102.0%)、脱脂粉乳で約47,500トン(前年比88.1%)となっております。また10月のバター製造量は5,007トン(前年比116.3%)、脱脂粉乳製造量は10,626トン(前年比110.4%)と何れも前年を上回り増産となりました。都府県は猛暑の影響により4ヶ月連続の前年同月割れとなった一方、昨年より猛暑の影響が和らいだ北海道は3ヶ月連続で前年同月を上回る数量となりました。
農林水産省が公表する大口需要者価格はバター ¥1,498/kg(税抜、前年比106.3%)、全脂粉乳¥984/kg(税抜、前年比99.9%)脱脂粉乳¥726/kg(税抜、前年比100.0%)でした。
日本国内の酪農家数が飼料等のコストの高騰、後継者不足による離農等の背景により今年初めて1万戸を下回りました。中央酪農会議が11月に実施した全国の236人を対象に行った経営実態調査では、酪農家の約半数が離農を検討しているという回答があり、現在の経営環境について、8割が悪いと回答しました。
また直近のalic入札の結果は以下の通りになります。
直近12月の入札では、入札数量が11月迄の800トンから600トンへ減少した一方で、応札数量は過去3回で最多であったことからマークアップ※も上昇しました。
※マークアップ:alicの輸入価格と売渡価格の差額
海外乳製品 市況
主要国の生乳生産量はNZを筆頭に概ね順調で前年比プラスで推移していますが、中国からの需要回帰や、他アジア諸国及び中東からの需要の増加など、需要サイドからの価格変動リスクは大きな懸念要素となっています。
地域別に詳細を見た場合、米国での10月の生乳生産量は前年同月比+0.02%とほぼ横這いとなりました。一方2024年の年間の生乳生産量は、前年比▲0.2%になると予想されています。ただ、今後は高い乳価や飼料や肥料などの投入物コストが軽減されることにより酪農家の所得は改善し、生産への意欲向上が期待されます。欧州での9月は前年同月比▲1.5%と減少しました。EUの一部では乳価が2022年の記録的高値に近づいており、目先飼料コストが安定することで酪農家の収益が改善され、生乳生産量は伸びる可能性があります。ただ、長期的な展望によると、乳牛頭数減少により生乳生産量は減少していく可能性が示唆されています。NZでの10月の生乳生産量は北島の天候が良好で前年同月比2.1%増となり、2024年6月の生産シーズン開始から2024年10月までの生乳生産量は前年同期比4.1%増となりました。
乳製品オークションであるGDTの12月初回イベントでは、たんぱく製品やその派生品であるラクトースが上昇し全粉乳と脱脂粉乳は横這いから若干上昇するという値動きとなっています。
製品別にみた場合、NZバターはFAS US$6,680/MT近辺と先月からは▲US$310/MTの値下がりとなりました。特に期近積み分がUS$6,590/MTと11月比でUS$1,000/MT以上値下がりしたことが平均価格の下落に繋がりました。欧州価格はUS$7,660/MT近辺と前月比US$340/MT程度の値下がりとなりました。最需要期となるクリスマス需要をカバーし終えることで少しずつ需要は落ち着きを見せ、下落傾向に動きつつありますが、一部では供給ひっぱくが続いています。NZ産全脂粉乳は中国からの需要が強く、在庫がややひっぱくしていることで続騰し前月比で約US$270/MT上昇しFAS US$3,980/MT近辺、脱脂粉乳は特にアジアからの需要の勢いが少々減速し、前月と変わらずNZ脱脂粉乳はFAS US$2,850/MT近辺となっております。
商品案内
殺菌ドライフルーツ商品のご案内
この度、弊社取り扱いのドライフルーツのおいしさ・食感を最大限に活かし、殺菌を施しながらもしっとりやわらかく仕上げた新しいドライフルーツ商品を発売致しました。
ドライフルーツは糖漬けや乾燥により、保存性や利便性に優れた素材として様々な用途に使用いただいておりますが、原料が果物であることから、微生物規格についてはフルーツによって違いがあり、一部の用途には微生物の面でご利用いただけない課題がございました。そこで、弊社工場で異物除去選別、殺菌を施し、微生物コントロールしたフルーツ加工品として5品のラインナップを発売致しました。より多くのお客様に彩りや新食感等の更なる演出のサポートができる製品として是非ご利用くださいませ。
◆弊社取扱い殺菌ドライフルーツ製品ラインナップ5品
・クランベリー(1/8カット)
・フルーツミックス(カリフォルニアレーズン、クランベリー、オレンジピールの3種MIX)
・パパイヤダイス
・マンゴーダイス
・パインダイス
◆用途◆
アイスクリーム、氷菓、
乳製品、その他洋菓子等
◆製品規格◆
荷 姿:5㎏×2
賞味期限:1年
保存方法:常温
糖 度:65±4%
◆微生物規格◆
一般生菌数:1,000ヶ以下/g
大腸菌群 :陰性
カビ・酵母:100ヶ以下/g