SHOEI NEWS2024年 1月号 Vol.287
CONTENTS
新年のご挨拶
年頭にあたり
新年明けましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。
年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨年は急激な円安やエネルギー価格の上昇、海外情勢の変化など多くの試練があった年でしたが、皆様のご支援とご協力のおかげで無事に乗り越える事ができました。
心から感謝申し上げます。
新型コロナウイルスについては、5月に感染症法上の位置付けにて「5類」に移行され、生活やビジネスにおける制約が徐々に緩和されました。
この為、海外への渡航制限が解除された事から、海外展示会への参加や輸入原料仕入先の品質確認・買付け交渉、新規仕入先開拓の為などの海外出張を再開いたしました。
また、急激な円安等によりエネルギーなどの各種コストが上昇している事から、工場の稼働率の向上に努め、一層の付加価値商品の販売に努めました。
さらに、人口減少による国内市場の縮小を見据え、昨年11月にはアジア・中国事業統括部を新設し、新興国への輸出事業などのグローバル展開強化施策を具体化いたしました。
2024年は引続き不安定な国際情勢の継続が見込まれ、金融政策や為替相場の先行きも見通せず、不透明なビジネス環境が継続すると思われます。
このような環境下、弊社グループでは、既存事業の継続維持に加え、新規事業・新規商品の開拓・開発に努め、持続的な成長に向けて努力を続けると共に、より強固な経営基盤を構築する為の取組みを進めてまいります。
食品ロスや廃棄物の削減、環境への配慮、人的資本の一層の活用など、サステナビリティに向けた対応も一層拡充してまいる所存です。
なお、2024年は弊社創業120周年の年に当たりますので、これを記念し4月には2017年以来7年ぶりとなる商品展示会を開催する予定としております。
国内・海外の仕入先メーカー様の出展協力をいただきまして、新商品の紹介や様々な用途提案を行ない、お取引先様にご満足いただける商品展示会を計画しておりますのでご期待下さい。
新年のご挨拶と共に、2024年(辰)が皆様にとって天に昇る龍のように勢いのある年で素晴らしい一年になりますように心からお祈り申し上げます。
商況案内
国内乳製品市況
農林水産省によりますと10月の生乳生産量は全国で前年比96.1%となり前年割れが常態化しています。
地域別で見ると、北海道では前年比約96.9%、都府県では前年比95.1%となりました。
前月の減少幅と比較し僅かに改善するかたちとなったものの、生乳生産の減少に歯止めがかからない状況は続いています。
10月末の推定在庫量はバターで約22,400トン(前年比66.0%)、脱脂粉乳で約53,900トン(前年比60.3%)となっています。
また10月のバター製造量は4,300トン(前年比90%)と、脱脂粉乳製造量は7,620トン(前年比88%)と依然として減少しており、特にバターに関しては不足感が非常に強くなっているものの、国産バターは12月から値上げとなる為、最需要期の年末を終えて、1月は需要が減退する可能性もあります。
農林水産省が公表する大口需要者価格はバター \1,409/kg(税抜、前年比111.0%)、全粉乳 \984/kg(同110.6%)脱脂粉乳\725/kg(同111.4%)でした。
12月よりバター、クリーム向け乳価改定により、バターの大口需要者価格は\1,500を超える事が想定されています。
直近のALIC入札の結果は以下の通りになります。
引き続き倍率は高く、為替の円高の影響により輸入価格は下がった為、円貨での値下がり分をマークアップに充てた入札者が多く、330円を超えるマークアップとなりました。
1月の入札数量は364トンと少ないため、12月以上の加熱が予想されます。
今後の日程としては以下の通りになります。※SBS《simultaneous buy and sell》
1月11日 364トン 通常SBS
海外乳製品市況
海外乳製品相場は年末年始のホリデーシーズンを意識し、大きな需要の変動は見られず、相場は比較的安定しています。
主要国の生乳生産量は、欧州では2023年度全体としては前年比0.3%と微増となっています。
米国は乳牛頭数の減少により7月以降5ヶ月連続で前値割れを記録しており年間を通じては0.1%と僅かなプラスです。
NZでは、6月からの累計で約0.8%の減少となっており、豪州では7月からの累計で前年比0.8%の微増となっています。
製品別にみた場合、NZバターはFOB US$5,200/mt近辺と5%以上の上昇となりました。
Fonterra社がGDTで今後販売するバターの数量を減らした事が原因で、その背景としてはGDTよりも相対での販売数量を増やす事を計画している為で総供給量は変わらない見込みです。
また欧州産バターはFOB US$5,830/mt付近と、11月にUS$6,000/mtを付けてから約3%下落しました。
年末までのポジションをカバーしたバイヤーからの需要が一服し、下げに転じたものと思料いたします。
全脂粉乳と脱脂粉乳は、欧州では何れも上昇基調が続き、NZでは脱脂粉乳が若干弱含み、下落するかたちとなりました。
NZ産全脂粉乳はFOB US$3,160/mt近辺、NZ脱脂粉乳はFOB US$2,650/mt近辺、欧州産全脂粉乳はFOB US$4,080/mt近辺、欧州産脱脂粉乳はFOB US$2,940/mt近辺となっています。
需給の均衡点をまだ手探りで動いている状況です。
オセアニアの全脂粉乳価格は上昇したものの、中国が自国の生乳を全脂粉乳の生産に充て、オセアニアからの輸入量を限定している事から需要は引き続き低調であると推測します。
一方でオセアニアのピークシーズンが終わりに近づくにつれて供給量が減少する事から、需要国の経済状態にもよるが需給のバランス次第では乳製品全体的に上昇基調となる可能性もあります。
2023年産中国リンゴプレザーブ市況
前年比約15%の減産で、山東省収穫量850万トン程度
弊社の中国産リンゴプレザーブの原料主要産地の山東省では、収穫前の9月頃に雨が少なかった影響で、リンゴの木が充分に栄養を吸収出来ず、現地関係者によると今年の収穫量は前年比約15%の減産で、850万トン程に留まる見込みです。
また、降雨不足の影響によりリンゴの色付きが悪く、生鮮向けリンゴの供給量が減少した事で、一部の現地商社は加工用リンゴを生鮮向けとして買い占めており、その影響で加工用リンゴの価格も高騰しました。
近年、中国政府は工場の環境管理に関する厳しい規制を掛けており、エネルギー費、配送費などの諸経費の値上がりに加え、副原料の砂糖もインドの砂糖輸出制限の影響を受け、元ベースでの現地オファー価格は高騰しています。
一方、現地為替は昨年比ドル高元安傾向にある為、ドルベースでのオファー価格は値上げ分の一部を圧縮する形となりました。
価格情報につきましては、弊社営業担当者までお問い合わせいただけます様、よろしくお願い申し上げます。
2023年中国産松の実市況
収穫量減で供給量が少なく、現地相場高値維持
2023年産中国松の実は2022年収穫時点で翌年収穫される松笠が少なかった為に不作と予想はされていましたが、8月末から9月にかけて収穫が開始されると改めて不作との情報が流れ価格が上昇しました。
10月末に収穫が終了しましたが、殻付きベースの総供給量は 約2.2 万トンと昨年の 約3.9万トンよりも一段と少ない数量となっています。
また、近年では中国国内のロースト品(殻付き口開け松の実)の需要増により、良質な中国産剥き実の供給量は少ない状況です。
この為、相場は引き続き高値維持で推移するものと思われます。
2023年中国産パンプキンシード市況
収穫量微減、原料価格は昨年比で高止まり
中国産パンプキンシードは内モンゴル、甘粛、新疆が主な栽培地となります。2023 年産の西北光板種パンプキンシードの収穫は 8 月末より開始され、10月末に終了しました。
収穫量は 収穫初期の予想では18万~20万トン程度と予想されていましたが、収穫期の降雨の影響により色調が悪くなったものが発生し、最終的には17万トン程度と当初の予想より減少しました。
当初の予想に対し収穫量が減少した事に加え、近年では他作物(コーン等)への転作による生産者離れを抑制する為に一定水準以上での買い取りが進んでおり、原料価格は高止まりしています。
2023年中国産サンフラワーシード市況・2023年ブルガリア産サンフラワーシード市況
2023年中国産サンフラワーシード市況
中国産サンフラワーシードは搾油やスナック需要が中心で、弊社の取り扱う剥き実は一部の限られたものとなっています。
2023年産は近年の相場上昇が栽培意欲を掻き立て、栽培面積が増加し、2022年に比べ収穫量は増加しました。
しかしながら2022年産からの繰り越し在庫が無い事から、中国の旧正月(春節)までの需要期に向けては引き続き原料相場は堅調に推移しており、昨年より現地価格に大きな変動はありません。
2023年ブルガリア産サンフラワーシード市況
ブルガリアは世界第6位のサンフラワーシードの生産国で、全土での栽培面積は90万ヘクタールあり、総収穫量は約200万トンとなっています。
2023年産のブルガリア産のサンフラワーシードは夏場の猛暑と干ばつにより約160万トンと前年より約24%の減少となりました。
更にサンフラワーシードは大部分が搾油用に使用されていますが、今年に入り他の植物性油に比べ割安であったサンフラワー油へ需要がシフトしている事から、相場が徐々に上昇しています。
ブルガリア産サンフラワーシードの今後の相場動向には注視が必要です。
弊社では、ブルガリア北東部にある人口1.5万人の“ポポヴォ”というサンフラワーシードの主要産地より厳選された原料を調達し、その原料を中国の関連工場である延吉秀愛食品有限公司へ送り、機械と目視にて選別を行なったものを輸入・販売しております。
商品のお問い合わせは弊社営業担当者までお問い合わせいただけます様、お願い申し上げます。
2023年産国産栗市況
収穫量は前年並みもしくは1割減予想、市場価格は依然として高い水準
茨城県産の栗は8月以降に過去に例を見ないほどの猛暑が続き、また降雨もほとんどなかった事から収穫が大幅に遅れ、9月中旬の時点では前年対比で大幅な減産が危惧されていました。
しかしながら、9月20日頃の降雨により栗の生育が進んだ事で9月下旬から10月中旬にかけて収穫量が増加し、最終的には前年並みもしくは1割減ほどとの見方が強いようです。
価格については昨年と同様に加工向けの引き合いが強かった事と、後述の熊本県産の減産の影響により市場価格は前年よりも高値で推移しました。
熊本県産の栗についても8月以降の猛暑と降雨不足の影響により収穫が遅れ、9月上旬の時点では熊本県全域で前年対比5~6割ほどの大減産が見込まれていました。
9月下旬より気温が下がった事で、例年より2週間ほど遅い9月末~10月上旬にかけて中生の収穫が回復し、最終的には熊本県全体で前年対比8割前後の収穫量であったとの見方が強いです。
価格については、前年と比較して減産となったものの、加工向け需要で大暴騰した昨年と比較すると若干の安値で推移しました。
しかしながら、今年も引き合いは強く、暴騰前の2021年産と比較すると市場価格は依然として高い水準にあります。
弊社は茨城県、熊本県の栗を調達し、株式会社京まろん天草工場で和栗ペーストの加工を行なっております。
2024年も国産栗は強い引き合いが予想されますが、国産、熊本県産ともに十分な数量を確保できました。
和栗ペーストをご検討の際は弊社営業担当者までお問合せ下さいます様、お願い申し上げます。
正栄だより
海外視察レポート ~韓国~
近年、韓国から発信されているトレンド情報をよく目にする機会が多くなりました。
今回、韓国へ出張に行った際の栗の情報を中心にご紹介いたします。
韓国はソウルの一部を除き、少し離れた郊外部ではモンブランを食べる習慣はなく、伝統的なお餅製品を食べる事が多いようです。
初日からずっとモンブランを探していましたが栗の専門店でさえ、モンブランはどこにも売っていませんでした。
今の韓国でまだモンブランはブームではないですが、大手コーヒーチェーン等が企画するようになり流行りだしたら、韓国栗の国内需要がますます増えるだろうと予想されます。
スーパーで生栗の量り売り
天津甘栗のように路上で韓国新物、焼き栗を販売、1,000円/500g
韓国のベーカリーは、栗を使用したパンが少なく、ほとんどの店舗で日本のようなバリエーションがない
鰻はたれを使わず関東風(蒸し焼き)、関西風(直火焼き)ではなく、単純に焼肉のように焼いて食べるスタイル
SHOEI RECIPE 正栄レシピ
弊社製品をふんだんに使用したレシピをご紹介いたします。
■栗とくるみのおこわ
栗のホクホク感と、くるみのカリッとした歯触りが楽しめるおこわです。デコールマロンは低めの糖度に仕上げてありますので、料理にもお使いいただけます。
材料(配合 約3~4人前)
もち米 0.5合
米 1.5合
デコールマロン 80g
鶏もも肉 80g
しょうゆ 2.5g
料理酒 2.5g
ごぼう 30g
しめじ 30g
しょうが 3g
しょうゆ 25g
A みりん 20g
塩 適量
ローストUSクルミ LMP 30g
いり白ごま 3g
〈作り方〉
① もち米と米は合わせてとぎ、水気を切っておく。
② 鶏もも肉は1㎝角に切り、しょうゆ・料理酒を揉みこむ。ごぼうはささがきに切り、水にさらして水気を切る。しめじは小房に分け、しょうがは千切りにする。
③ 炊飯器に①、Aを入れて、水を目盛りまで加えて軽く混ぜる。デコールマロン、②を入れて炊飯する。
④ 炊き上がったらクルミ、白ごまを加えて混ぜる。
■アーモンドとじゃこの佃煮
カリッとした歯触りの良いアーモンドスリバードとちりめんじゃこを合わせた佃煮は、お子様も大好きな味です。
材料(配合 約3~4人前)
ローストアーモンドスリバード 90g
ちりめんじゃこ 50g
しょうゆ 40g
A みりん 30g
砂糖 20g
酢 5g
煎り白ごま 5g
〈作り方〉
① ちりめんじゃこは熱湯にくぐらせ、ザルにあけて水気を切り、フライパンで軽く乾煎りする。
② 鍋にAを入れて火にかけ、とろみが付くまで煮詰める。
③ アーモンド、①を加えて煮詰め、汁気がなくなってきたら白ごまを加えて混ぜ合わせ、火から下ろしあら熱をとる。
■くるみと晩柑の佃煮
くるみとじゃこの佃煮に、あまくさ晩柑のピールを入れました。晩柑の爽やかな風味とほろ苦さは、和のお惣菜にもよく合います。
材料(配合 約3~4人前)
ローストUSクルミ LMP 80g
ちりめんじゃこ 40g
あまくさ晩柑ピール スライス 50g
ドライクランベリーソフトモイスト 20g
薄口しょうゆ 25g
料理酒 30g
A みりん 30g
砂糖 15g
塩 3g
酢 5g
煎り白ごま 3g
〈作り方〉
① ちりめんじゃこは熱湯にくぐらせ、ザルにあけて水気を切り、フライパンで軽く乾煎りする。
② 鍋にAを入れて火にかけ、とろみが付くまで煮詰める。
③ クルミ、晩柑、クランベリー、①を加えて煮詰め、汁気がなくなってきたら白ごまを加えて混ぜ合わせ、火から下ろしあら熱をとる。